 今でこそ板バネをを付けて走るランナーが多くなりました。しかしわずか20年前では、義足で走ることなど思いもよらないことだったんです。
その当時米国から部品を取り寄せて、試行錯誤でスポーツ義足を制作する日々が続きました。完成した試作品を20代のある女性に履いて走ってもらったところ、ポンポンポンと5歩ぐらい走れたのです。たかが5歩ぐらいと思うかもしれませんが、彼女にとっては実に大きな5歩だったのです。感激のあまり、彼女の目にあふれた涙を今でも覚えています。
手や足を切断すると心にも大きな欠落感が生まれ、ふさぎ込んでしまう人が多いです。ところが走れるようになることで自信を取り戻し、生き生きした表情になり仕事や家庭においても前向きな態度に変わってゆくのが分かるのです。それに気がつき切断障害者のためのスポーツクラブ「ヘルスエンジェルス」を立ち上げました。メンバーの中にはスキーや投てき、幅跳び、マラソン、トライアスロンの選手もいます。その中からはパラリンピックに出場を果たした選手もいるのです。
さまざまな人の義足を創っていると、さまざまな要望が出てきますから、そこからまた工夫が生まれてくるのです。理想は血が通うような義足。履いていることを忘れてしまうようなフィット感があって、履くのが楽しくなる。そんな義足が創れれば最高です。 |